※このお話はフィクションです。1話目と2話目はこちら→【#1】 【#2】
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2話目を読んで何だか少しほっとした。
やっぱり、いつものみずきちゃんの創作話だろう。
でもその人と名前や生活環境が似ている設定だからなのか、妙にリアルに感じられて読んでいるうちに僕はこのブログに引き込まれていた。
見てはいけない、知人の裏垢を発見してしまった気分だ。
仕事として依頼されたのだから、別に見てはいけない訳ではないのだろうけれど。
それにしても、ただの創作の様にもイマイチ思えなくて僕はすぐに3話目をクリックした。
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3月6日【幸せだから今この瞬間に死にたい】
今日は体調が良かった。
昨日の夜はきちんとお風呂にも入れた。
いつも昼夜逆転の私が朝の6時半に起き、綺麗に化粧をしお気に入り素敵な洋服を着て午前中からバスに乗り友人とランチをしに出掛けた。
インスタで見つけた可愛くて美味しそうなお店。
久しぶりに会う友人と話も弾み、沢山笑ってまた会う約束もしまたバスに乗って帰る。
途中でちょっとした銀行や郵便局の用事も済ませ、帰り道に道路脇に咲いている花を愛でたりなんかして。
帰って来ると家の駐車場でばったり弟夫婦と会い、そのまま少しお茶を飲んだりペットの小鳥と戯れたり、近況報告なんかをしてまた沢山笑った。
そろそろ夕飯の時間だねーなんて言いながら、またね、と別れてドアを閉めた後、
私は、
『今日は楽しかったなぁ。幸せだなぁ。』と思った。
そして、
『死にたい。』と強く願った。
いま、この瞬間に。
この気持ちのまま、幸せなまま、誰も恨まず、憎まず、悲しくないこの穏やかな気持ちのまま、
今すぐこの世から一刻も早く消えたいと、強く強く思った。
この幸せな気持ちが消えないうちに、
いま、今、いま!!!!!
まるでマッチの炎が点いている間にだけ楽しい光景が見えていたマッチ売りの少女のように、私はこの素敵な気持ちが消えないうちに今!!!と願った。
あぁ、これが鬱病なんだなと思ったら、何だか涙が溢れてきた。
こんなにも幸せな気持ちの時にすら、私は死にたいと願うのだと思ったら、絶望しかなかった。
むしろこんな穏やかで美しい日に、いつもよりも強く死にたいと思ってしまうのだ。
私はもう二度と、今まで過ごせていた何でもない優しく穏やかな幸せを嚙みしめる事すらできないのだろう。
優しい絶望が、私を真っ黒に塗り潰していく。
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